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賃貸経営の法律相談・税務相談Q&A

(Q1)

築30年以上の建物をレストラン経営の会社に賃貸しています。借主会社は内装に多額の費用をかけ,業績も順調です。

 

(Q1-①)

賃貸建物が老朽化し,耐震補強をしないと危険な建物です。貸主としてどう対応すべきでしょうか。

 

 (A1-①)

賃貸中の建物内や建物近くで借主会社に事故が起きた場合、その事故が建物の老朽化や耐震性に問題があったことが原因のときは、賃貸建物の貸主として、借主会社から損害賠償を求められることがあります。また、建物の所有者として、事故により損害を受けたレストランの客などから不法行為を理由に損害賠償を求められることもあります(民法717条)。

 

したがって、東日本大震災の被害や今後の地震被害の可能性を考慮すれば、建物の所有者で貸主としては、できるだけ早く耐震診断と耐震補強のための改修工事をするべきでしょう。

 

貸主が、耐震補強工事のような賃貸建物の保存に必要な行為をしようとするとき、民法上、借主はこれを拒むことはできません(民法606条)。まずは、早急に本件建物の耐震診断をし、借主会社から耐震補強工事への理解と協力を得られるように説明するべきです。


なお、その場合の耐震補強工事は、民法上認められた貸主の権利ですから、借主会社が工事期間中、飲食店を開店できなかった場合でも、その期間中休業損害等の金銭的補償は原則として要らないでしょう。


もっとも、借主会社に大きな影響を与えないよう、耐震工事の実施時期を借主会社と相談したり、工事期間を短くできるよう工事計画を綿密に立てるなどの配慮が必要です。


 

(Q1-②)

賃貸建物で水漏れ事故が発生し,レストラン借主の什器設備に損害が生じ,休業損害まで請求されました。貸主として,どうすべきでしょうか。


 (A1-②)

賃貸中の建物の老朽化が原因で水漏れ事故が発生した場合、貸主として建物の修繕義務を怠ったあなたに責任がありますので、レストラン借主の什器備品が故障したことによる損害は、一定期間賃料を減額するなどの方法で金銭賠償する必要があります。

 

一方、休業損害は、実際の損害額の算定が難しく、水漏れと休業損害との因果関係の立証も難しいため、裁判をしたとしても、借主の請求する休業損害が全額認められない場合もあります。そうはいっても借主会社側とトラブルになり、退去される事態もできれば避けたいでしょう。そこで借主会社に休業損害は全額認められない事情を説明したうえで、借主会社に一定金額を賠償する和解案を提示し、話し合いで解決する方がよいと考えます。

 

損害保険に加入していれば、損害保険会社が貸主に代わって交渉をしてくれるでしょうが、損害保険会社の査定額は、厳しいことが少なくないので、

 

借主会社が損害保険会社の提案に納得せず和解できそうにない場合は、損害保険では賄えない損害も補償することを検討された方がよいかもしれません。


 

(Q1-③)

古い賃貸建物なので,修繕義務を借主負担としたいのですが,できますか。借主負担とする場合に,留意すべき点はありますか。


 (A1-③)

賃貸建物の修繕義務は、貸主の義務(民法606条)ですが、特約で借主負担とすることができます。

 

但し、通常の原状回復義務を超えた修繕義務を借主負担とする特約は、当然には有効でなく、その特約が必要かつ合理的であり、借主が、特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことを認識していて、借主が特約による義務の負担の意思表示をしなければなりません。

 

そこで、賃貸借契約書や重要事項説明書に「本件建物は築30年以上の古い建物なので、今後修繕が必要な箇所が出てくることが想定される。その修繕義務は借主負担とするが、その分賃料を▲○○○円減額する。」などの内容を明記し、契約締結時に借主に十分説明したうえで、借主から署名押印をもらうことが必要となります。

 

 

(Q2-①)

建物賃貸借で,更新料を新賃料の1ヶ月分とする契約をしましたが,借主が払わない場合,どうすべきですか。


 (A2-①)

居住用建物賃貸借の更新料については、平成23年7月15日最高裁判決で、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、無効とはならないと判断されました。

 

更新料が新賃料の1ヶ月分程度なら、そのことが賃貸借契約書や重要事項説明書に記載されていれば、更新料条項は有効と考えられますから、借主に更新料の支払いを請求することができます。

 

借主が更新料を支払わない場合には、内容証明郵便で借主側に更新料の支払いを請求し、それでも支払いに応じない場合には裁判所に支払督促の申立てをするべきです。

 

または、借主が更新後初めて支払った賃料1ヶ月分を、更新料分の支払いとして受領した旨を借主に意思表示し、賃貸建物明け渡し時に、1ヶ月分の未払賃料として敷金と精算する方法も考えられます。


 

(Q2-②)

更新料を支払う契約になっていますが,賃料の増額でもめて,法定更新になったとき,更新料を請求できますか。


 (A2-②)

賃貸借契約書に「賃貸借契約は合意により更新することができる。この場合には借主は、更新料として、新賃料の1ヶ月分を貸主に支払わなければならない。」と記載されている場合、法定更新の場合に更新料を請求することができるかどうかについては、裁判所の判断が分かれています。

 

この場合、法定更新については直接書かれていませんから、素直に読むと、更新料を支払う場合は、「合意により更新する場合」と解釈することもできるからです。

 

法定更新の場合にも更新料を請求するために、賃貸借契約書に「賃貸借契約が更新されたときは、合意更新であると法定更新であるとを問わず、借主は、更新料として、新賃料の1ヶ月分を貸主に支払わなければならない」と記載することが、ベストなやり方です。


 

(Q3-①)

未払滞納賃料について,遅延損害金は、約束しないと、とれませんか。年15%の損害金を約定した場合は,請求できますか。


 (A3―①)

未払滞納賃料の遅延損害金についての約束がない場合でも、年5%の法定利率の遅延損害金をとることができます(民法419条1項)。また貸主が事業として賃貸業を行っている場合は年6%の遅延損害金をとることができます(商法514条)。

 

しかし、借主との争いをできる限り避けるためにも、遅延損害金について賃貸借契約書に記載しておいた方がよいです。

 

個人相手に居住目的等で物件を貸す場合は、消費者契約法が適用されますので、最大で年14.6%の割合までしか遅延損害金の約束をすることができません。したがって、年15%の損害金を約定しても、年14.6%を超える部分の約定は無効となり、年14.6%の損害金までしか請求できません。

 

一方、個人であっても事業用として物件を貸す場合や、会社等法人に対して物件を貸す場合には、消費者契約法は適用されませんので、年14.6%を超える年15%の割合の遅延損害金を約定することができます。ただし、遅延損害金の割合があまりに高すぎる場合(例、年40%)には、裁判で無効と判断される可能性がありますので、注意が必要です。


 

(Q3-②)

借主の会社が事実上倒産し,連帯保証人の社長と連絡が取れません。滞納賃料の回収は,どうすればよいでしょうか。


 (A3-②)

借主会社や連帯保証人の社長から任意の滞納賃料の支払いが期待できない場合、借主会社所有の動産や、連帯保証人の社長所有の不動産、預貯金債権などの財産があれば、その財産を差押え、滞納賃料を回収することができます。但し、財産差押をするためには、借主会社や連帯保証人の社長それぞれに対する債務名義(確定判決や、仮執行宣言を付した支払督促など)がなければなりません。

 

まずは、借主会社と連帯保証人の社長に、滞納賃料の支払いをそれぞれ内容証明郵便で請求し、それに応じない場合には、支払督促、少額訴訟あるいは通常訴訟などを利用して、借主会社と連帯保証人の社長のそれぞれに対する債務名義をとりましょう。

 

なお、借主を会社名義にして、保証人を会社代表者にすることが、一般的ですが、賃貸借契約締結前に、借主会社の決算確定申告書等で資産収入状況をチェックすべきですし、心配な時は、保証会社を付けさせることも検討すべきでしょう。

 


(Q3-③)

借主が賃料を入居した当初から遅れがちで,請求しないと払わない状態が続いています。この場合に,賃貸借契約の解除ないし更新拒絶ができますか。


 (A3-③)

賃貸借契約は、借主の債務の不履行があっても、信頼関係を破壊しない程度の些細な不履行では、貸主は契約の解除をすることができないというのが裁判実務です。賃料を請求しないと家賃を支払わない状態が続き、滞納家賃が3ヶ月分程度ある場合には、信頼関係が破壊しているといえると思われますので、相当な期間を定めて支払いするよう通知し、それまでに滞納家賃が解消されないようであれば、賃貸借契約を解除することができます。

 

建物賃貸借契約の更新を拒絶する正当事由は、貸主の建物利用の必要性や、借主の建物利用状況、立退料の金額などを総合的に判断します。貸主が家賃を請求しないと借主が家賃を支払わないことは、それだけで更新拒絶の正当事由にはなりませんが、更新拒絶の正当事由といえるための要素の1つにはなります。借主と争いになったときに備えて、内容証明郵便で支払を督促するなどしておくべきでしょう。


 

(Q3-④)

賃料を3ヶ月滞納したので,督促状を送ったところ,弁護士から債務整理の受任通知が来ました。どうすればいいですか。


 (A3-④)

弁護士の債務整理の通知が来たとしても、貸主であるあなたが、直接借主本人に請求・交渉することに、法的な問題はありません。しかし、弁護士を代理人とする通知が来た以上、まずは弁護士に連絡し、詳細を確認するべきでしょう。

 

弁護士が代理人になり、弁護士から受任通知が来たからといって、当然に、賃料支払義務が免除されたり、猶予されたりするわけではありません。賃料滞納が3ヶ月生じている場合には、借主宛てに停止条件付解除通知を内容証明郵便で送付し、それでも支払わない場合には訴訟を提起するなどして明け渡しを求めるべきです。


 

(Q4)

A会社に部屋を貸していますが,実際の居住者(社員)個人名義に賃貸借契約を切り替えて欲しいとの申し入れがありました。応じてよいと思いますが,具体的にどう処理すればよいですか。


 (A4)

借主名義の変更は、民法上、借主としての地位の譲渡として、貸主の承諾が必要ですが、貸主であるあなたに、それを当然に承諾しなければならない義務はありません。賃貸借契約書の書換えや、敷金名義の変更、敷金の精算など事務処理手続に手間がかかりますので、譲渡承諾料及び手数料として1ヶ月分程度の賃料相当額を請求してもよいでしょう。

 

また、敷金契約は賃貸借契約とは別個で、原則として敷金は新しい賃借人に承継されませんので、A社と敷金の精算をしたうえで、社員個人に改めて敷金を入れてもらわなければなりません。


 

(Q5)

分譲マンションの1室を事務所として貸していますが,シャワー室が故障したことから修繕を求められました。事務所として貸しているからシャワーは不要であり,修繕しないと言ってよいでしょうか。


 (A5)

貸主としては、シャワー室を含む分譲マンションの一室を事務所として賃貸し、借主はマンション一室の使用対価として算定された賃料を支払っています。シャワー室を利用しないとの前提でその分賃料を安くした、というような特別な事情がない限り、貸主としてはシャワー室の修繕義務も負担しています。したがって、事務所として貸しているからシャワーは不要であり修繕しない、と言うことはできません。

 

今後同様のケースの場合に備えて,賃貸借契約時あるいは合意更新時に,賃貸借契約書,重要事項説明書またはその他の合意書面で,シャワー室の修繕は借主負担とする内容の特約を設けておくべきでしょう。